明太子の特許と商標
戦後、明太子は特許、商標をとることが出来たのでしょうか?
今回明太子についての調査を行っていく中で、戦後初期であっても特許、商標をとることは難しかったのではないかと考えられます。
まず特許について考えていきます。
特許とは発案者、またはその継承者に対して、発明の公開を代償として発明を使用して作られた製品を独占的に製造・販売できる権利を国家が付与するものです。
これより食料品の製造方法そのものは特許の対象といえます。
しかし出願し、許可を得るにはいくつかの要件をクリアしなくてはなりません。
具体的には6つの要件があります。
- 産業上利用できること
- 新規性があること
- 進歩性があること
- 先願であること
- 公序良俗に反しないこと
- 形式的な要件が整っていること
発明、製造法に対して特許が与えられるのはそれが客観的に見て新しい創作技術としての産業の発展に貢献するため、新規性が求められます。
また製造方法が誰でも簡単に創作できるものである場合は保護に値しません。
これより、大正3年の関門日日新聞に既に「明太子」が載っていたこと、製造方法に関しても既に大正時代に明太子が流通していたことから新規性があるとは言いにくいと考えられ,客観的に見て、特許をとることが難しかったと思われます。
では、「明太子」を商標として取ることは出来たのでしょうか?
商標には登録が認められない商標というものがあります。
他と区別しにくいとして以下に該当する商標は登録不可です。
- 商品・役務の普通名称
- 慣用されている名称
- 記述的な表現の商標
- ありふれた氏、または名称を表す商標
- きわめて簡単かつありふれた商標
明太子という名は既に大正時代から使用されており、普通名称もしくは慣用されている名称として扱われていたと言えます。
これより商標を取得することも出来なかったと考えることができます。
参考文献
特許・商標のしくみ